今年の税制改正についてまとめたものをお客様に郵送しましたので、同文を転載いたします。

平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、平成19年度の税制改正が4月1日から施行されましたので、その概要をまとめた小冊子『平成19年度版 税制改正のポイント』をお客様に郵送いたしました。今年の改正は、比較的小規模でしたが、注意したい項目を次に簡記いたしましたので、参考にしていただければ幸いです。

1 減価償却制度の改正

これまで取得価額の95%まで減価償却費として経費に算入することができましたが、取得価額の100%まで(1円を残して)経費に算入できるようになりました。この改正は、平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産から適用されます。

それ以前に取得した減価償却資産は、帳簿価額が償却可能限度額(5%)に達した翌事業年度(個人は年分)以後5年間で均等償却できるようになりました。

2 リース取引について

大企業(株式公開会社、株主500名以上の会社等)を対象としたリース取引に関する会計基準が導入され、税務上もファイナンス・リース取引を売買取引とみなすことになりました。ただし、中小企業では、従来どおり賃借料として経費に算入しても問題はありません。

3 同族会社の留保金課税の廃止

同族会社のうち資本金が1億円以下の法人については、留保金に対する課税が廃止されました。

4 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度

昨年より、同族関係者が90%以上の株式を保有し、常務に従事する役員に同族関係者が過半数を占める同族会社は、次の場合を除いて、業務を主宰する役員の給与のうち給与所得控除相当額を法人の損金に算入できない制度が設けられています。

  1. 業務主宰者の給与+法人の所得金額=基準所得金額 が800万円以下の事業年度
  2. 基準所得金額が3千万円以下で、かつ、業務主宰者の給与が基準所得金額の2分の1以下の事業年度

この制度について、税理士会などの強い要請により、1.の800万円以下の要件が1,600万円に緩和されました。これにより、多くの中小企業が対象から外れると思われます。

5 住宅バリアフリー改修促進税制

満50歳以上の者が、住宅ローンを借り入れてバリアフリー改修工事を行なった場合に、5年間、税額控除を受ける制度が創設されました。

6 上場株式等の配当金に対する源泉所得税の軽減税率の延長

上場株式等の配当金に対する源泉所得税の税率は、所得税7%+住民税3%=合計10%でしたが、適用期限が平成21年3月31日まで延長されました。期限が過ぎると、所得税15%+住民税5%=合計20%に戻ります。

7 上場株式等の譲渡益に対する源泉所得税の軽減税率の延長

上場株式等の譲渡益に対する源泉所得税の税率は、所得税7%+住民税3%=合計10%ですが、適用期限が平成19年12月31日まで延長されました。期限が過ぎると、所得税15%+住民税5%=合計20%となります。

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- 長谷川 修 -