新入社員が入社するとき、新入社員を雇うときに、最初に決めることが2つあります。

  1. 給与にするか、外注費にするか。
  2. 給与にする場合に、甲欄にするか、乙欄にするか。

やることは4つあります。

  • 履歴書の保管
  • 入社日の記録
  • 扶養控除等申告書の作成
  • 前職の源泉徴収票

給与にするか、外注費にするか

最初に、会社にとって、その支払いを、給与にするか、外注費にするかを決めます。ふつうは給与にします。

もし外注費にする場合

とくに支払先が、個人事業をしている場合は、外注費扱いにすることが多いです。

外注費にする場合は、消費税がかかります。消費税込みの金額をはっきりさせておきましょう。

外注費にする場合は、給与の源泉所得税を差し引く必要はありません。しかし、報酬の源泉所得税に該当するかどうかを確認してください。例えば、原稿料、デザイン料、講演料など、だいたい10%の報酬に対する源泉所得税を差し引きます。

現金で外注費を払う場合は、必ず領収書を受け取ってください。支払先が領収書を用意していない場合は、会社で用意してあげます。「お支払いするので、サインをください」といって書いてもらいます。

甲欄にするか、乙欄にするか

次に、外注費ではなく給与にする場合に、その人と相談して、甲欄にするか、乙欄するかを決めます。ふつうは甲欄にします。

甲欄

  • その人がメインで勤める会社の場合、甲欄にする。
  • 源泉徴収する税額が、乙欄に比べて、とても少ないです。だいたい月額85,000円以下なら、源泉徴収税額0円になります。
  • その人は、毎年「給与所得者の扶養控除等申告書」を会社に提出しなければいけない。
  • 会社が年末調整してくれる。年末調整してもらうと、他に収入がなければ、その人は、所得税の確定申告をする必要がなくなる。

乙欄

  • 複数の会社から給与を受け取る人は、2ヶ所目以降の会社に対して、乙欄にしなければいけない。
  • 源泉徴収する税額が、甲欄に比べて、高いです。給与がどんなに少なくても、3%源泉徴収します。最大38%になります。
  • その人は、「給与所得者の扶養控除等申告書」を会社に提出する必要はありません。ただし、氏名、住民票の住所、生年月日を会社に伝える必要があります。
  • その人は、必ず所得税の確定申告をする必要があります。

税額の比較は、税務署が作成している「源泉徴収税額表」をご覧ください。「源泉徴収税額表」は、給与計算をする上でとても参考になるパンフレットです。必ず手元に置いておいてください。

給与で甲欄の場合にやること

給与で甲欄になったら、やることが2点あります。

履歴書を保管しておく

履歴書を保管しておくと、税務調査で役に立つことがあります。本人が作成した書類なので、架空の人件費ではないという強力な証拠になります。

入社日をメモしておく

あとで年末調整の書類を作るときに必要になるので、何月何日に入社したのかをメモしておきます。

扶養控除等申告書を提出してもらう

まず、会社が「その年分の給与所得者の扶養控除等申告書」の用紙を用意します。

次に、新入社員が「その年分の給与所得者の扶養控除等申告書」を書いて、会社に提出してもらいます。

すぐに辞めてしまうことがあるので、とにかく最初に書いてもらうことが肝心です。

前職の源泉徴収票を提出してもらう

新入社員が前の職場から「源泉徴収票」を発行してもらい、この前職の源泉徴収票を入社した会社に提出してもらいます。

前職の源泉徴収票が必要になるのは、その新入社員が、入社した年の1月1日から入社日までに、前の職場で給与を受け取っていた場合です。その新入社員が、以前は、学生だった場合、専業主婦だった場合、無職だった場合は、前職がありませんので、前職の源泉徴収票は、必要ありません。

前職の源泉徴収票は、その新入社員にとって、メリットがあります。

  • 入社した会社で年末調整をしてもらえます。所得税の還付があるかもしれません。
  • 年末調整によってその年の所得税が精算されるので、確定申告する必要がなくなります。

もし、新入社員が前職の源泉徴収票を提出しなかった場合は、会社は、その新入社員の年末調整ができませんので、所得税の還付をすることなく、そのまま源泉徴収票を本人に渡します。会社にとっては、前職の源泉徴収票がなくても、メリット・デメリットはない、といえるでしょう。

前職の源泉徴収票は、年末調整までに手に入れれば、間に合います。しかし、時間が経つと心理的に頼みづらくなってしまいます。すぐに頼むのが一番です。